解消されない仙台の戦術的不備。
名GKの美技が泣いている (2ページ目)
後半39分には、GK大国ポーランドで代表歴がある守護神ヤクブ・スウォビィクが見せ場を作る。カウンターからのレアンドロの強烈なシュートを力強く外へ弾く。直後の際どいCKも、高い技術のフィスティングでゴールラインへそらす。さらにクロスに対応し、パンチングでエリア外遠くへ飛ばした。硬質なゴールキーピングで、味方を鼓舞するように潮目を作った。
仙台は同点を狙い、総攻撃に入っている。実際、何度かゴールに迫った。しかし、最後は逃げ切られた。
「(永井謙佑の後半43分の起用に関して)下がりすぎず、前から(行って)フィードをさせないようにしました。永井は三度追い、四度追いをして、チームのために貢献してくれたと思います」(FC東京・長谷川健太監督)
FC東京はこうして、要所を締める戦いを見せた。昨シーズンは最終節まで優勝を争い、今シーズンも上位にいるチームだけに、勝負の機微を知っているのだろう。主力を休ませ、盤石な戦い方ではなかったが、踏みとどまった。
一方、仙台は見えない差を突き付けられた。
「3バックは今季初めてで、3日間の準備で使いました。システム自体は悪くなかったと思います。やれていなくはない。これから細かいところを突き詰めるつもりです。攻めたい気持ちはありますが、現状は失点しないところからです」(仙台・木山隆之監督)
仙台は、引き分け以上も狙える試合展開だったと言える。しかし、相手の悪い時間帯で得点できず、自分たちで戦術的不備を解消できなかった。4バックであれ、3バックであれ、ラインが間延びしたままでは戦いにならない。選手個人がハードワークしても、得点は増えず、失点が増える。今シーズンは、コロナ禍の特別ルールで降格はないが......。
9月23日、仙台は昨季の王者、横浜F・マリノスの本拠地に乗り込む。リーグ屈指のGKスウォビィクがゴールを守り、活路を見出せるか。中二日での試合になる。
2 / 2