中村航輔がビッグセーブ連発。柏の守護神争いはJリーグトップレベル (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO


「開幕前にケガをしたことは不運でしたけど、メディカルスタッフをはじめとして全力でサポートしてくれたので、帰ってこられてうれしい。毎試合いいパフォーマンスでレイソルのためにやろうという気持ちはありますが、それが叶わない時もあるのかなと思っています」

 MOM級の活躍を見せたものの、立場は安泰ではないと理解している。謙虚な姿勢を保ち、中村はキム・スンギュとのポジション争いに臨む覚悟だ。

"出場機会に飢えていた"のは、中村だけではない。

 CBコンビの高橋祐治と大南拓磨、左SBの三丸拡、両サイドハーフを務めた仲間隼斗と神谷優太。彼らはいずれも今季加入した新戦力だ。神谷をのぞけば、いずれも前節が初スタメン。そのチャンスをものにし、今節も堂々たるパフォーマンスを見せつけた。

 彼らの躍動の裏には、ネルシーニョ監督のマネジメント能力があることも忘れてはいけない。メンバーを固定せず、調子のよい者にチャンスを与えていく。数字がそれを物語る。

 第5節終了時点でスタメンに起用された選手は24人。これはリーグダントツだ。川崎が14人、名古屋グランパスが15人と、上位陣が比較的少なく、下位に行くほどその数が増える傾向があるのは当然ではある。頻繁なスタメンの入れ替えは、組織つくりに混乱をもたらすデメリットもあるだろう。

 それでもネルシーニョ監督は、メンバーを代えることにためらいはない。

 主軸に危機感をもたらし、サブ組のやる気を導き出す。そうして刺激を与えながら、チーム強化を推し進めていることがうかがえる。今季のハードスケジュールも考慮しているのだろう。試合を重ねるごとに手駒を着実に増やしている印象だ。

「トレーニングの成果が結果に出たことをうれしく思います。選手たちがよく理解してやってくれた」

 中村vsキム・スンギュのほかにも、今の柏は各ポジションでハイレベルなポジション争いが展開されている。奇しくもこの日、70回目の誕生日を迎えた名将にとって、この争いこそが最高のプレゼントだろう。

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