小林悠がどん底だった2012年。「1年で5年分」成長したきっかけの言葉 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


「何もかもがうまくいかないというか。ちょうど結婚したばかりだったんですけど、家に帰れば毎日毎日、愚痴を言っていましたね。

 監督に対する文句を口にしてしまうこともあれば、すべてにおいて真ん中でプレーできないことのせいにしていたんです。今だから言えますけど、2012年の終わりごろには移籍も考えて、とにかく現状から逃げ出したいなって、すごく思ってました」

 光りが見えないまま、小林の2012年は終わった。「もしあの時、移籍することになっていたら、自分の人生はどうなっていたんだろうと思うこともあります」と振り返る。

 ただ、2013年を迎えるにあたって、小林は決意した。

「監督も続投になり、自分も移籍しないのであれば、右サイドで生きていくしかないなって思ったんです。それでノートを引っ張り出してきて、そこに『絶対に言い訳をしない』『人のせいにしない』って書いたんです」

 それは誓いでもあった。

 小林は、外に向いていた矢印をすべて自分に向けたのである。どうしてそう思うことができたのか。聞けば、こう教えてくれた。

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