小林悠がどん底だった2012年。「1年で5年分」成長したきっかけの言葉 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 その年、シーズン序盤から成績不振に陥った川崎は、早々に監督交代を決断すると、風間八宏監督が新指揮官に就任した。2011年にJ1で12得点をマークした小林は、FWとして自信をつけ、意気揚々とプロ3年目を迎えていた。

「前十字じん帯を損傷する大きなケガが治って、プロの世界で試行錯誤して、自分としてもワンタッチゴーラーとしてのプレースタイルを確立できてきたところだったんです。ペナルティエリアの中で相手と駆け引きして決める。そのプレースタイルで勝負していこうと思っていた。

 そのタイミングで風間さんが監督になり、右サイドで起用されるようになったんです。それで一気に何もできなくなってしまったというか、お手上げ状態になってしまったというか......」

 高校時代はサイドハーフでプレーしていたこともある。大学でもドリブルは得意なプレーのひとつでもあった。ただ、FWとして大成しようと"ワンタッチゴーラー"としての自分を見出した矢先に、右サイドへ転向。小林はプライドを傷つけられ、自分自身をも見失った。

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