小林悠がどん底だった2012年。「1年で5年分」成長したきっかけの言葉 (8ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 あの時、DFとGKがスローモーションのように見えたんです。それもこれも、自分の技術ならばボールを止められると思えたからなんですよね」

 確実に成長していたし、うまくなっていた。それが2017年のJ1得点王であり、J1初優勝、さらには翌年のJ1連覇へとつながってもいた。

 今シーズン、小林は再び右サイドでプレーする機会が増えそうだが、そこに抵抗もなければ、不満もない。

「むしろ、今は右サイドのほうが点が獲れるんじゃないかと思っているんですよね。そう考えると、人生ってつながっているというか。面白いですよね」

 多くの人が外出自粛生活を送っていることだろうが、小林の経験はきっと自身に当てはめることもできるだろう。小林は言った。

「与えられた環境のなかで、言い訳することなく、そのなかで自分に何ができるかを探すことが大切だと思うんですよね。それができれば、外に向いていたエネルギーを全部、自分のために使うこともできるんです。それだけでも、自分にとってはすごくプラスじゃないですか」

 矢印を自分に向けてみる。そこに答えがある気がした。

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