「試合も練習もできないJリーグの監督」は、いま何を思っているのか (2ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

――誰もが初めて経験するこの状況を、監督としてはどう受け止めていますか?

永井 最初にJリーグの休止が発表された頃は、新型コロナウイルス感染に関する報道もそこまで深刻なものではなかったので、自分自身も『ある程度のところで収まるだろう』と安易に考えていた部分もありました。選手にも「みんなが休んでいる間にもっと練習するぞ」と話し、休止期間中に短期キャンプを開催するなどして、チーム全体の士気を高めることに一生懸命でした。

 ただ、今はサッカーよりも、感染拡大抑止のために何ができるかを最優先しなければいけない。4月に入ってからは、個人的に他クラブの監督とも連絡を取り合い、情報収集してきました。特に、同じ東京にホームタウンを置くクラブであり、最も尊敬する指導者のひとりでもある長谷川健太監督(FC東京)には、いろいろとご意見を伺いました。

 サッカーよりも『健康・安全最優先で危機克服を目指す』という考えは同じで、やはり東京のクラブということで、東京都の意向は早い段階から気にされていたようです。長谷川監督とお話をして、カテゴリーに関係なく、Jリーグ全体が意識を持ち、社会のために何ができるかを真剣に考えていることを改めて確認できました。クラブの垣根を越えて、Jリーグ全体で今は『競争』ではなく『共存』を第一優先に、少しでも社会に貢献できることを考えていると、あらためて実感しました。

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