2020.04.13

Jリーグ史上初の二度目のMVP。
2013年の中村俊輔はスーパーだった

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

1993年~2019年Jリーグ
『私のMVP』~あの年の彼が一番輝いていた
第7回:2013年の中村俊輔(横浜F・マリノス/MF)

 各クラブの戦力が拮抗し、優勝予想が極めて難解なJリーグでは、最終節で首位が入れ替わる、土壇場での逆転優勝を目にする機会が少なくない。

 2013年のJ1もそうだった。

 この年、J1の優勝争いを引っ張っていたのは、横浜F・マリノス。開幕6連勝の好スタートを切り、シーズンを通じて先頭集団を走り続けた。

 そんな好調のチームを引っ張っていたのが、当時35歳のキャプテン、MF中村俊輔である。

 シーズン序盤、鮮やかなスタートダッシュを決めた横浜FMだったが、内容的に言えば、結果ほどに安定していたわけではなかった。高い位置からの積極的、かつ強度の高いプレッシングが生命線であり、攻撃に関しては、よくも悪くも、俊輔頼み。一発で相手の急所を突くパスは脅威だったが、言い換えれば、それだけだった。

 ひとたびスローダウンさせられると、ボールは前への進みが悪くなり、4-2-3-1のトップ下に位置する俊輔が、低い位置まで下がってきてしまうことも多かった。

 加えて、当時の横浜FMには俊輔をはじめ、ベテランが多かった(J1開幕戦時点で、先発11人のうち5人が30代。平均年齢は30.45歳だった)。それゆえ、夏場の失速を危惧する向きも少なくなかったのである。

 しかしながら、経験豊富な選手を中心としたチームは、試合を重ねながら修正を施していくと、失速するどころか、結果に引っ張られるように、次第に内容も向上。とりわけ、ボールポゼッションにおける質の向上は顕著で、俊輔が下がれば、ダブルボランチのひとりであるMF中町公祐が前に出たり、サイドハーフのMF兵藤慎剛が中央へ絞ったりと、チーム全体でバランスよくボールを動かし、チャンスメイクができるようになっていった。