イニエスタは「ピッチの創造主」。
同僚はあらためてすごさを思い知る (2ページ目)
この夜、アジア初参戦の神戸は「イニエスタ・シフト」を組んでいる。4-2-3-1というシステム表記よりも、イニエスタはもっと自由を与えられ、独立したプレーを許されていた。全体的に前がかりで、4-2-1-3のような表記の方が適切か(郷家友太はボランチというよりもインサイドハーフでプレーし、4-1-4-1にも見えた)。
ともあれ、イニエスタは気のおもむくまま、ディフェンスラインまで落ちることもあったし、前線に残っていることもあった。
「(トップ下での起用に関して)イニエスタには、ゴールに近いところでプレーしてもらった。クリエイティブなゴールシーンを作るというか、同時にディフェンスの負担を下げる目的があった」
神戸の指揮官トルステン・フィンクは、試合後にそう振り返っている。
イニエスタは、戦術そのもののような存在だった。彼がボールを触るたび、乱れが収まり、プレーにリズムが出た。
敵将も称賛したように、先制点につながるプレーは格別だった。
前半13分、自陣左サイドまで下がったイニエスタは、絶妙なタイミングでディフェンスの裏へロングパスを送る。右サイドからダイアゴナルのランニングで左へ入ってきた小川は完全に抜け出し、GKと瞬間的に1対1になるとループシュートを選択、ボールはその頭上を破った。小川の裏への抜け出しはすばらしく、シュート技術も見事だったが、イニエスタはほとんど何もない状況から、右足一振りで好機を生み出したのだ。
2 / 4