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王者・青森山田が断然優位のなか、
帝京長岡に勝機を得るカギはあるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 今大会では青森山田同様、2回戦から登場した帝京長岡は、準々決勝までの3試合で9ゴール。青森山田には及ばないものの、堂々たる勝ち上がりを見せている。しかも、計3失点している青森山田に対し、帝京長岡はここまで無失点。粘り強い守備も光っている。

 キャプテンのMF谷内田(やちだ)哲平が「青森山田を倒して、日本一にならないと意味がない」と語るように、打倒・青森山田の有力候補である実力校が、下馬評どおりに勝ち上がってきたと言っていいだろう。

 1年前の準々決勝を2年生で経験した先発メンバーが6人残り、そのうちの3人――谷内田、FW晴山岬、DF吉田晴稀がJクラブ入りを決めているあたりも、青森山田に看板負けしていない。

 もちろん、これまではサッカー後進県の印象が強かった新潟県の代表として、初の準決勝進出に期するところもあるだろう。晴山は「初めてだし、失うものはないのでチャレンジしたい。大事なのは会場の雰囲気に飲まれないこと」と言いつつも、自分たちの優勝だけでなく、その先も見据えてこう語る。

「これまでは、県外(の強豪校)に出ていく選手も多かったが、長岡に優勝を持ってこられれば、県外からも『ここに来たい』という選手が集まるようになり、地元の選手も奮起する。そうなれば、もっと応援してくれる人も増えると思う」

帝京長岡は青森山田相手に持ち前の攻撃力を発揮できるか帝京長岡は青森山田相手に持ち前の攻撃力を発揮できるか ただし、実力、経験などを総合的に評価すれば、青森山田が優位と見るのが妥当だろう。力関係をあえて数字で表現すれなら、恐らく6:4というより、7:3に近い。高校生レベルのチームが、プレー強度が格段に高い青森山田を倒すのは至難の業だ。

 帝京長岡にとって参考になるのは、同じテクニック重視の昌平(埼玉県)が青森山田に挑んだ準々決勝の内容だろう。

 昌平は前半のうちに3点を失ったものの、後半に反撃。2点を返し、王者をあと一歩まで追い詰めた。そんな善戦ができた最大の要因は、昌平が自分たちの時間を作れたことである。

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