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王者・青森山田が断然優位のなか、
帝京長岡に勝機を得るカギはあるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 現在に至る高校サッカーのトレンドは、大雑把に"野洲以前と以後"に分けられると言っていい。すなわち、テクニックを駆使したサッカーで野洲が全国制覇を成し遂げた、第84回大会の前と後、である。

 今の青森山田を見ていると、その戦い方は完全に"野洲以前"。例えて言うなら、かつて隆盛を極めた国見のイメージと重なる。

 高校生レベルとしては、選手個々のフィジカル能力が圧倒的に高く、1対1の局面で絶対的な強さを見せる。だから、人数が足りなくなるような状況さえ作らなければ、簡単には失点しない。また、奪ったボールをクリアまがいのロングボールで大きく蹴り出したとしても、相手と競り合いながら拾ってキープし、マイボールにできてしまう。ボールを失ったら、即失点のリスクを冒してまで、自陣からショートパスをつながずとも、易々と敵陣に入れてしまうのだ。

 高円宮杯ファイナルで敗れた名古屋の古賀聡監督が、カウンターやセットプレーを得意とする青森山田対策を「最短最速の攻撃を警戒していた」と表現していたが、なかなか的を射ている。

 もし青森山田が今大会で優勝すれば、18年ぶりの連覇となるが、最後に連覇を成し遂げたのが国見、というのも示唆に富む。一発勝負のトーナメント戦を2年続けて勝とうと思えば、ただ強いチームやいいチームを作るだけではダメだ、ということなのだろう。あらゆる"事故"を想定し、いかに回避していくか。それを突き詰めると、こうしたスタイルに行きつくのかもしれない。

 さて、そんなディフェンディングチャンピオンに挑むのは、帝京長岡(新潟県)。テクニックを重視し、パスとドリブルを組み合わせて攻撃を組み立てる、完全に"野洲以後"のチームである。

 帝京長岡のベスト4進出は、同校だけでなく、新潟県勢としても初めてのことだが、帝京長岡は昨年度の大会でもベスト8まで駒を進めており、決してフロックでここまで勝ち上がってきたわけではない。

「すばらしい雰囲気に飲まれ、本来やらなければいけないことができなかった。ガチガチだった」

 1年前の準々決勝のあと、チームを率いる古沢徹監督は、そんなことを話していた。だが、今年は「去年の3年生に(準々決勝まで)連れてきてもらったのが大きい。その経験があって、いい(試合への)入りができ、苦しい時間もしのげた」と指揮官。前回の経験を生かし、もう一段成長した成果が、初のベスト4進出である。

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