2020.01.12

高校サッカー連覇へ。青森山田に
時間を操る「パウサ」の使い手がいる

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●写真 photo by Takahashi Manabu

「パウサ」というサッカー用語がある。スペイン語で「小休止」という意味の言葉で、意図的にプレースピードを落とすことでリズムを変えたり、状況の変化を生み出すプレーのことを言う。

準決勝の帝京長岡戦で、2得点を演出した青森山田の古宿理久 横浜FCへの加入が内定している、青森山田高校(青森県)のMF古宿理久は「パウサ」の使い手だ。

 味方がボールを持てば、すっと近寄ってパスを受け、状況がよくなったところでボールを離す。ボールを保持してタメをつくることで状況の変化を待ち、効果的なタイミングで次のプレーへと移っていく。決して目立つ仕事ではないが、攻守の切り替えが速い青森山田において、古宿の「パウサ」は貴重なアクセントになっている。

 高校サッカー選手権準決勝の帝京長岡(新潟県)戦で青森山田が奪った2ゴールは、共に古宿のプレーから始まった。前半16分、武田英寿のパスを受けた古宿は攻め急ぐことなく、右サイドバックの内田陽介へボールを渡し、すぐにサポートの位置に入る。

 フリーでリターンパスを受けた古宿には、十分な時間があった。中央へクロスを入れる素振りをしてフェイントをかけると、内田が最終ラインの裏へ抜ける時間を稼ぎ、ドンピシャのタイミングでスルーパスを送る。そして、内田のクロスから田中翔太のゴールが決まった。

「あのパスは狙いどおりでした。自分が最初、(内田の)足元につけて、もう一回パスを受けて背後に出したんですけど、相手の逆を取ったというか、自分としてはそういうプレーを得意としています」

 後半2分に松木玖生が決めたゴールも、古宿のパウサが起点になっている。右サイドの高い位置でボールを受けた古宿は、武田とのゆっくりとしたパス交換で小休止の時間を作ると、次の瞬間、DFラインの裏へ猛然とダッシュ。スルーパスを受けた古宿は中央へクロスを入れ、相手選手がクリアしたボールを松木が押し込み、2点目が生まれた。