ベルマーレ、逃げ切ってJ1残留。「湘南スタイル」の原点に立ち返った (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images



 最後にJ1残留を決めることができたターニングポイントをそのように振り返ったのは、第27節(9月29日)から第30節(11月3日)までの4試合を負傷欠場した齊藤未月だった。その間、チームは0−6(対清水エスパルス)、0−5(対川崎フロンターレ)、1−3(対横浜F・マリノス)、0−3(対ガンバ大阪)と、大量失点を喫して連敗を続けた。

 まさに崩壊寸前だった"湘南スタイル"が復活の兆しを見せたのが、齊藤が復帰した第31節のセレッソ大阪戦だった。

 その試合こそ0−1で敗れたが、本来の姿を取り戻したチームは、次のFC東京戦(第32節)でドローを演じて連敗脱出に成功。終了間際に追いつかれたものの、優勝争いをするチームに対して先制した自信は、第33節のサンフレッチェ広島戦の勝利(1−0)につながった。

 それでも、最終節の松本山雅戦がドロー(1−1)で終わったため、前監督不在となった8月17日以降に挙げた白星は広島戦の1勝のみ。混迷を極めた今季の湘南にとっては、まさに首の皮一枚を残して迎えたJ1参入プレーオフ決定戦だった。

 しかも対戦相手は、奇しくも8月17日以降にわずか1敗しかしていない徳島である。J2とはいえ対照的なシーズン後半戦を過ごしていたチームだけに、レギュレーション上のアドバンテージはあるとしても、戦いとして湘南に分があったわけではなかった。

 実際、試合開始直後こそアグレッシブに前に出るサッカーを見せた湘南だったが、5分に鋭いカウンターから徳島のエース河田篤秀にシュートまで持ち込まれて以降は勢いがトーンダウン。前からのプレスも巧みなパスワークで無力化されると、一転、試合は徳島ペースで進むことになった。

 そんな試合展開のなか、前半20分にコーナーキックから鈴木徳真に決められ、先制を許してしまう。そして、その後も追加点を目指して攻勢に出る徳島に対して押し込まれた湘南は、反撃の糸口を見つけられないまま、0−1で前半を終えることとなってしまった。

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