2019.12.16

J1昇格を逃すも胸を張る。
徳島ヴォルティスは何をつかみ取ったのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

「Complejo」(複雑な)

 徳島ヴォルティスのリカルド・ロドリゲス監督は試合後、言葉を選びながら無念さを表現した。

 徳島はJ2を4位で終え、昇格プレーオフに進出している。5位のヴァンフォーレ甲府、そして6位のモンテディオ山形を撃破。この日、J1で16位の湘南ベルマーレとの決戦にこぎつけ、敵地で1-1と引き分けた。しかし、昇格にはアウェーでの勝利が条件で、その不利をひっくり返せなかった。

「2点目を取れなかったのが、自分たちの力不足」

 徳島の選手たちは、気丈にも自らを戒めていた。徳島の”総決算”とはどんなゲームだったのか?

J1昇格を逃し、サポーターにあいさつをする徳島ヴォルティスの選手たち 12月14日、Shonan BMWスタジアム平塚。湘南の本拠地に乗り込んだ徳島は前半、ペースをつかんでいる。立ち上がりこそホームの声援に後押しされた湘南の攻撃を浴びたが、チームとしての完成度で勝っていた。ひとりひとりがポジション的優位でボールを受け、それをゴールに向かってつなぐ。その仕組みが練りこまれていた。

 戦術的な軸となっていたのは、MFの野村直輝だろう。

 野村は湘南のボランチの手の届かない場所にポジションを取って、プレスを回避。後方でプレーを作ったかと思えば、トップ近くで連係。そうかと思えば、サイドから際どいクロスを送った。シャドーだが、むしろインサイドハーフに近い役で、彼が上下することにより、両ウィングバックはウィングのように前に出て、3-2-2-3のような攻撃的布陣を作っていた。

「自分たちはやるべきことを積み重ねてきて、それがはっきりしていたので、リラックスしてプレーできました」

 野村はそう言って回顧している。徳島はシーズン前半こそ一進一退を繰り返していたが、8月からは11勝1敗3分けと、猛烈に巻き返した。

「今年(の徳島)は自分も含めて新しい選手が多く入って、最初はやり方が定まっていなくて、スタイルを追求する中、夏以降から(戦い方がイメージと)リンクして、ここまで来られました。相手(の戦い)を見ながらプレーできるようになって。今日も相手のボランチがハードワークするので、僕のところに来るのか後ろなのか、その中間地点を取るようにして、イメージどおりボールを握ることができていました」(野村)