2019.12.08

仲川輝人の才能を開花させた
横浜F・マリノスの超攻撃サッカー

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 2017年のプレシーズン、仲川輝人はタイの地で飛躍の1年を思い描いていた。

 2015年、専修大から横浜F・マリノスに加入した小さなストライカーは、プロでの2年間でさしたる実績を残せないまま、もがき苦しんでいた。大学時代に負ったケガの影響もあり、1年目はリーグ戦に2試合に出場したのみ。2年目も出番は限られ、9月にJ2のFC町田ゼルビアに期限付き移籍することになる。

15年ぶりにJ1リーグを制した横浜F・マリノス 町田からレンタルバックして迎えた3年目、今季こその想いを胸に新たなシーズンに臨んでいた。タイで行なわれたプレシーズンマッチでは、見事にゴールを決めている。

「今季の目標は、試合に必ず絡むということと、チームのために最善を尽くすこと。勝利のために走り続けたいと思います」

 しかし、その想いとは裏腹に、この年も出番を得られないまま、J2のアビスパ福岡にレンタル移籍することとなった。

 大卒選手として、焦りの想いはあったはずだ。そんな仲川の運命を変えたのが、アンジェ・ポステコグルー監督との出会いだろう。

 2018年に就任したオーストラリア国籍の指揮官は、徹底的なポゼッションと極端なハイラインによる攻撃スタイルを標榜。このサッカーこそが、仲川の才能を開花させることになったのだ。

 ウイングに配置された仲川は、サイドいっぱいに開いてボールを受け、迷いなく縦に仕掛ける。あるいは、中のエリアを活用するサイドバックと連係して敵陣を切り崩していく。

 一方で、スペースに飛び出してカットインからフィニッシュを見舞い、逆サイドからのクロスをエリア内で合わせてゴールを陥れる。スピードと突破力、そして決定力。本来備えていた攻撃スキルを、十分に発揮できるようになったのだ。

 昨季途中よりレギュラーの座を掴んだ仲川は、今季は33試合に出場して15ゴールをマーク。同僚のマルコス・ジュニオールとともに得点王に輝くとともに、チームトップの9アシストを記録。15年ぶりの優勝を飾った横浜FMにおいて、最高の輝きを放った選手のひとりであることは言うまでもないだろう。