今季リーグ戦出場ゼロの選手が、
ひそかに永井秀樹ヴェルディ再建を支える (3ページ目)
「2014年に、FC琉球から戻ってきた時、昔とは随分と変わっていて、自分自身のプレーだけではなく、サッカーそのものについて勉強している様子が伝わってきました。ベンチでも『あの場面はああじゃないな』とか『もっとこうすればいいのに』とか話していました。プレーも自分本位ではなくて、受ける側に対しての思いやりを感じるというか。練習後も残って若手に教えたりして、この頃から指導者としての目線はあったのかなと思います。
ただ、今回このタイミングでトップの監督になるとは思いませんでした。今のタイミングで監督を引き受けた永井さんは、すごく大変だと思います。一度壊れたものは簡単には戻らないので......」
ベテランとしてチームを支えている柴崎貴広 2018、2019シーズンに指揮を執り、J1復帰まであと一歩まで迫ったミゲル・アンヘル・ロティーナ(現セレッソ大阪監督)氏の積み上げたサッカーは、今シーズン後任のギャリー・ホワイト氏でリセットされた。しかし、結果は出ずホワイト氏は解任。まとまりをなくしたチームを立て直すため、シーズン途中で緊急就任したのが永井だった。
準備期間もないままスタートした永井体制だが、柴崎によれば、選手たちは前向きに取り組み、ネガティブな声も聞こえてこないそうだ。試合に出場しているメンバー、控え選手、ベンチ外の選手も含めて、同じ方向を見ている。それは永井自身のサッカーに対する考えが一貫しており、日々の結果に左右されず理想を追求しているからだと柴崎は思っている。
柴崎は、永井について選手では誰よりも理解している。そんな自分ができることは、監督の意図をより選手に正確に伝えることだと考えていた。若手選手が理解できていないと感じた時は丁寧に説明し、分かり合える関係性を築くサポートに努めていた。
「自分は付き合いも長いですから、永井さんが何も言わなくてもわかることも多い。でも今の選手は昔と感覚も違いますし、難しい時もある。そこは自分が埋めていこうと思っています」
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