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今季リーグ戦出場ゼロの選手が、
ひそかに永井秀樹ヴェルディ再建を支える

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(9)

 2019年11月2日(土)、敵地・福岡での第39節アビスパ戦。試合前のウォーミングアップでシュート練習する選手たちを見つめる永井秀樹。ゴールポストぎりぎりのきわどいコースを狙った低い弾道のボールが、地面スレスレに横っ飛びしたGK柴崎貴広の手を弾いてネットに吸い込まれた。永井はそれを見て小さく笑みをこぼし、柴崎についてこう話し始めた。

控えキーパーとしてできることを常に考え、チームに貢献している柴崎貴広(中央)控えキーパーとしてできることを常に考え、チームに貢献している柴崎貴広(中央)「今のシュートは、わざとキャッチせず決めさせたと思う。気分よく選手たちを試合に挑ませるためにね。彼はボールをキャッチする技術だけならば、十分、先発でも活躍できる。今は自分の役割を考えて、試合に出なくても、チームのために何ができるかを常に考えてくれている。もちろんチームにとって必要な選手だよ」

 チーム最年長37歳のGK柴崎は、この日もベンチメンバーだった。ヴェルディの正GKは上福元直人で、この日まで39試合すべてに出場。柴崎のリーグ戦出場はまだない。

 それは今シーズンに限らず、柴崎は19年間のプロ生活の大半を、セカンドキーパーとして過ごしてきた。それでもここまで長く現役を続けられている理由は、永井が言うように、キーパーとしての資質だけでなく、チームに必要な存在だからに他ならない。

「もちろん試合には出場したい、出たくて仕方ない。でもそれと同じくらい『ヴェルディをよくしたい』という気持ちがあります。試合に出たいだけなら、ヴェルディにいる必要もないですし、移籍先を探せばいいわけで。やっぱり、このチームでサッカーがしたい気持ちが強いので、コンディションも維持できるのだと思います」(柴崎)

 柴崎は2001年、高卒ルーキーとして当時J1だったヴェルディに入団した。ちなみに永井が、横浜F・マリノスからヴェルディに4年ぶり2度目の復帰をしたシーズンである。柴崎はその後、横浜FC、FC東京にも移籍したが、キャリアの大半はヴェルディで、通算15シーズン(2001〜2003/2007〜2012/2014〜現在)在籍してきた。在籍通算年数だけならば、永井よりも長い。

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