2019.06.03

浦和レッズ「アウトレイジ第2章」は、
クラブ再建の契機となるか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイム。目安の4分はすでに過ぎ去ろうとしていた。タイムアップの笛がいつなってもおかしくない状況下で、CKの混戦からのこぼれ球を蹴り込んだのは、浦和レッズの46番だった。

 刹那、バタバタと倒れ込む川崎フロンターレの選手たち。そして直後に、試合終了を告げる笛が鳴り響いた。殊勲の男――森脇良太は4連敗と窮地に陥っていた浦和を、そのひと振りで救った。

起死回生の一発で浦和の5連敗を阻止した森脇良太 まさに、サヨナラ男である。森脇は第5節のFC東京戦でも、ラストプレーで同点ゴールを奪取している。

 振り返れば、サンフレッチェ広島に所属した2012年にも、その年に奪った4つのゴールのうち、3つをアディショナルタイムに決めている。内訳は、負けを引き分けとしたゴールがひとつで、引き分けを勝ちに持っていったゴールがふたつ。アディショナルタイムの一撃で、5つの勝ち点も上積みしたことになる。その勝負強さがなければ、この年、広島は悲願の初優勝を成し遂げられなかったかもしれない。

 果たして、森脇は持っている男なのだろうか。あるいは、大事な場面で何かを感じ取れる嗅覚を備えているのだろうか。イジられキャラを受け入れるなかで、いつしかどんな場面でも動じない強靭なメンタリティを手に入れたのかもしれない。

「気持ちには、引力がある」

 かつて広島ユースを率いた、森山佳郎監督の言葉である。現在はU-17日本代表を指揮する森山監督は、当時広島ユースの選手たちに、そう説いていたという。その教えを受けていた森脇には、「念ずれば花開く」の想いが備わっているのだろう。最後まであきらめない気持ちが、土壇場での同点ゴールを引き寄せたのだ。

 森脇だけではない。この日の浦和は、まさに「気持ち」の戦いだった。

 前節、広島に敗れてリーグ戦4連敗。その2日後に、オズワルド・オリヴェイラ監督の解任が発表された。鹿島アントラーズを3連覇に導いた名将も、浦和で晩節を汚した感は否めない。