久保建英の周辺は風雲急。
2ゴール大分戦がJリーグラストゲームか
6月1日、味の素スタジアム。試合後のミックスゾーンでの久保建英(FC東京)は、記者たちを吸い寄せる磁石のようだった。代表中断前のJリーグ第14節、大分トリニータ戦で2得点を奪い、勝利の立役者に。直近の4試合で4得点。自ら初の代表入りを祝うかのようだった。大分トリニータ戦で2ゴールを決める活躍を見せた久保建英(FC東京)――初ゴールを決めてから、一気に得点が増えています。
群がる記者のひとりが訊ねた。
「入るときは入る」
久保は断固たる口調で言った。表情には自信が満ちていた。勢いでシュートが入っているわけではない、という自負があるのだろう。
17歳最後の試合を、久保は勝利で飾った。
「今日は(相手に)ボールを持たせてもらいました。あれだけ(自由に)ボールを蹴ることができたら、(今日のように多くの)チャンスを作ることはできます」
久保は淡々と語っている。
その言葉どおり、久保は大分のディフェンスを翻弄した。カウンターで自ら持ち運び、ディエゴ・オリベイラに決定的なパスを配球。また、ずるずると下がる大分が生んだギャップに入り、左足で東慶悟に絶好のボールを送る。右サイドだけでなく、中盤の中央でもボールを呼び込み、一瞬にして守備を崩した。
戦術センスが際だったのが、前半30分の先制点のシーンだろう。右サイドで自らを中心にいくつかボールをつないだ後、久保はゴールラインぎりぎりまでボールを持ち込み、深みを作る。相手のラインを下げた後、室屋成に戻すと、室屋が右足で入れたクロスを橋本拳人がヘディングでゴールに叩き込んだ。
高い技術を見せつけたのは前半39分だった。久保は相手のカウンターのボールを奪い返すと、自らドリブルで仕掛け、左からエリア内へ侵入。2人のディフェンダーに立ち塞がれるが、そのひとりの股を抜くような一撃を決めた。
「あれは得意の形ですね」
日本代表MF、橋本はそう説明する。
「たぶん、股抜きですよね。練習からよく狙っています。ボールを持って、相手のタイミングをうまくずらしながら。たしか(コンサドーレ)札幌戦も同じようなシュートを決めています」
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