神戸「バルサ化」邁進の光と影。セルジ・サンペール獲得は吉か凶か?
「セルジ(・サンペール)は、一風変わった選手だ」
ヴィッセル神戸のフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョ監督は、バルセロナから移籍してきたスペイン人MFについて、そう説明している。
「セルジはフィジカルコンタクトを得意としない。しかし、優れたコントロールとキックで、フィジカル的なプレーを回避できる。キープ力だけでなく、方向を変えるパスのセンスには驚かされるよ。また、自らボールを持ち運ぶこともできる。ピッチの中央でプレーを創造できる選手だ」
リージョはその言葉どおり、直近の清水エスパルス戦で後半35分、入団したばかりのサンペールを途中交代で用いている。4-2-1-3から4-4-2にシステムも変更。山口蛍と組ませることで守備面の負担を補いながら、その卓抜した技術を生かした。
リージョ神戸は、24歳になる元バルサMFをどのように生かすのか?
ヴィッセル神戸に加入したセルジ・サンペール そもそも、サンペールはどんな選手なのだろう。
バルサの下部組織「ラ・マシア」では、各年代で主力を張る、いわゆるエリートだった。2013-14シーズン、18歳にしてバルサBでプレー。プロとしてのデビューシーズン、2部で3位とした躍進したチームの司令塔として、「2部最優秀MF」の候補のひとりにノミネートされている。
「セルヒオ・ブスケッツの後継者」と、バルサ内部で期待は高まった。
2014-15シーズンには、欧州チャンピオンズリーグでトップチームデビューを飾っている。しかし、主戦場にしていたバルサBがよもやの3部降格の憂き目に遭ってしまう。これによって、以後、サンペールはトップで練習しながら、3部の試合に出るというジレンマを抱えることになった。
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