30歳になった「和製アンリ」。
伊藤翔がゴール量産で鹿島を牽引

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AFLO

 コロンビア、ボリビアと戦う日本代表の試合がもう1週間遅かったら。日本代表のメンバー発表が、それにともなって1週間遅かったら――伊藤翔(鹿島アントラーズ)が選出されていた可能性なきにしもあらず、だ。

今季ここまで4ゴールを挙げ、得点ランキング3位の伊藤翔(鹿島アントラーズ)今季ここまで4ゴールを挙げ、得点ランキング3位の伊藤翔(鹿島アントラーズ) Jリーグ第4節。鹿島がコンサドーレ札幌とのアウェー戦に1-3で勝利した一戦で、伊藤翔は2ゴールをマーク。今季の通算ゴールを4に伸ばし、得点ランキングで藤本憲明(大分トリニータ)、アンデルソン・ロペス(札幌)を1点差で追う3位に躍進した。

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも、プレーオフを含む3試合で3ゴールを挙げている伊藤翔。つまり、公式戦6試合で7ゴールを叩き出した計算になる。

 今季、横浜F・マリノスから鹿島に移籍するや、いきなりの活躍。結果を残している。これが1年前の出来事なら、ロシアW杯の代表メンバーに名を連ねていた可能性さえある。

 とりわけストライカーの選考では、実績と同じくらい重要になるのは現在の調子だ。その時、最も当たっている選手は、立派な代表候補になる。そんなタラレバ話を思わずしたくなるほど、伊藤翔は調子がいい。春の珍事に終わりそうな感じではない。好調は持続するとみる。

 2ゴールを挙げた札幌戦にしても、まだまだ点は入りそうだった。本人も、もう1点ほしかったと述べていたが、ゴール以外にかなり惜しいシュートが3本はあった。鹿島が押しまくっていたわけではないのに、である。

 伊藤のプレースタイルに鹿島が適したチームと言うべきか、鹿島のプレースタイルに伊藤が適した選手と言うべきか。相性のよさを思わずにはいられない。まさにお互いが欲していた選手でありチームに見える。

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