神戸「バルサ化」邁進の光と影。セルジ・サンペール獲得は吉か凶か? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Pasya/AFLO

 ただ、外国人選手出場枠は5人である。イニエスタ、ビジャ、ルーカス・ポドルスキの3人は外せない。獲得したばかりのブラジル人センターバック、ダンクレーも起用が有力だろう。そうなると、韓国代表GKキム・スンギュが割を食うことになる。

 事実、清水戦はキムを外し、前川黛也を先発で起用することになった。

「黛也は人間的にとてもいい男で。スンギュをリスペクトし、親しくしている。だから、外国人枠の問題で自分がプレーし、スンギュが外れる、ということに気まずさを覚えているんだ」

 リージョは本音を洩らしているが、マネジメントは人間関係が絡み合うだけに、監督としてもやりくりが難しい。

 クラブとしては「バルサ化」に邁進するために、サンペールと契約したのだろう。戦力補強としては悪くない。しかし、現場には、選手を含めて当惑があるのは当然だろう。ビデオゲームのように、選手の能力値がそのまま戦力につながるわけではないのだ。

 サンペールはひとつのオプションではある。ただ、戦術システムまで変更せざるを得ないのなら、貧乏くじを引く選手も出てくる。スンギュはそのひとりだろう。そして開幕から先発でプレーするMF三田啓貴も、サイドでのプレーを余儀なくされるかもしれない。

 はたして、サンペール獲得は吉と出るのか、凶と出るのか。


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