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神戸「バルサ化」邁進の光と影。
セルジ・サンペール獲得は吉か凶か? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Pasya/AFLO

 2015-16シーズンはリーグ戦デビューを遂げたものの、結局はこれがバルサで唯一のリーグ戦出場となっている。2016-17シーズンは同じ1部のグラナダに期限付き移籍したが、22試合出場も定位置はつかめていない。2017-18シーズンはラス・パルマスへ期限付き移籍するが、わずか2試合出場に終わり、ケガで半年を棒に振った。

 その後、サンペールはバルサに戻って治療を終えている。しかし、公式戦には一度も出ていない。つまり、清水戦は1年数カ月ぶりの真剣勝負だったのである。

「バルサ化」

 その目標を掲げる神戸だが、残念ながらサンペールはアンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャと同列には語れない。実戦経験が乏しく、したがって適応力も低い。バルサで育ったことによるハンデのある選手だとも言える。守備の面では、ほとんど鍛えられていない。すべてボールありき。特殊なプレーコンセプトで育ったため、多くのバルサ出身の選手が他のチームに移籍して苦労しているのだ。

 残り10分で出場した清水戦でも、サンペールは「バルサらしさ」を見せてしまった。ポゼッションにこだわって、イニエスタに入れたパスを狙われた形で、珍しくボールを失う結果となり、カウンターの起点になった。さらに攻撃を受けたとき、サンペールは背後へ簡単にボールを通されていた。結果、神戸は終盤で1-1と追いつかれてしまった。そしてアディショナルタイムにも、自陣で不用意なパスをカットされている。

 その一方で、リージョ監督が語るように、ボール技術はやはり傑出している。清水戦も、美しいパスの軌道でポゼッション率を高めていた。バルサのフィロソフィーを濃厚に受け継いでいるのは間違いない。戦術的にマッチし、Jリーグに適応することができたら、大きな戦力になるだろう。

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