2019.03.14

「イニエスタも負けたら怒る」。
神戸指揮官が見せたリアリストの一面

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Matsuoka Kenzaburo/AFLO

 3月10日、J1リーグ第3節。ヴィッセル神戸はベガルタ仙台と敵地で戦い、1-3と勝利を飾っている。新加入の元スペイン代表FWダビド・ビジャは2試合連続得点。チームは着実に迫力を増しつつある。

「練習から”怖さ”を与えられるような選手が必要だ。まだまだおとなしい。トレーニングではガツガツしていなければいけない。絶対にボールを取り返してやろうと、相手に食いついても足りないほどだ」

試合中はほとんど動かないフアン・マヌエル・リージョ監督(ヴィッセル神戸) 神戸の指揮官フアン・マヌエル(ファンマ)・リージョはそう言って、プレー強度を上げてきた。

 リージョは16歳から監督を続けているだけに、戦術家で攻撃志向が強く、口にする言葉も哲学的である。そのため、スペクタクル主義のロマンチストのように語られることが少なくない。しかし、その実像はもっと人間的で、戦いの本質を見ている。

「上の空でいるような選手には、目を光らせないといけない。挨拶のときから、足を踏んでみたり、小突いてみたり。寝ぼけたままでは、戦えないからだ」

 戦闘者としての覇気が試される――。2年目のリージョ神戸は、そういう集団になろうとしている。

 リージョにとって、日々のトレーニングにこそ、監督の一切合切がある。高い強度の練習において、ボールの置き方、タイミングのひとつひとつにこだわって、精度を下げない――。そうして積み上げたプレーがすべてだ。

「自分の夢は選手になることだった。だから、試合に出られる選手たちを羨ましく思うことがある。我慢できずに飛び出してしまうかもしれないので、コーチングエリアにはあまり立たないんだ」