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過渡期のサンフレッチェ広島。
カギを握るのは武者修行を経た若手だ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 寺田弘幸●撮影 photo by Terada Hiroyuki

「広島でもう一度、輝くために帰ってきました。育ててくれたクラブに恩返ししたい気持ちだけです」

 復帰の理由をそう語った野津田は、「チームとしてのやり方もメンバーも変わりましたが、広島らしさはまだありますし、あらためてこのエンブレムのユニフォームに袖を通してみて、帰ってきたなという実感があります」と、感慨深げに心境を吐露した。

 一方の川辺も、ユース時代にトップデビューを果たしたが、トップ昇格後に出番は少なく、2015年に磐田に期限付き移籍。3年間主力として活躍したのち、昨季復帰したものの、得意とするボランチやトップ下ではなくサイドでの起用が多く、持ち味を発揮するには至らなかった。

 しかし、今季はシステム変更により、ボランチでの起用が濃厚だ。磐田時代に躍動したポジションで、再び輝きを取り戻そうとしている。

 青山の離脱だけでなく、クラブのレジェンドである森﨑和幸が現役を退き、3度の優勝の立役者となった千葉和彦も名古屋グランパスに新天地を求めた。過渡期を迎えるなか、世代交代の象徴ともいえる24歳の野津田と23歳の川辺には、大きな期待が寄せられている。それは練習後の取材エリアで、このふたりの周りに多くの報道陣が集まっていたことからもうかがえた。

 両者に共通するのは、「俺らの世代がチームを引っ張っていく」という想いである。

「チームとして平均年齢が上がっているので、自分たちの世代が中心となってプレーしないといけない」と川辺が言えば、「メンバーも変わって、今年は大事な年。チームを変えていきたいですし、引っ張っていけるような存在にならないといけない」と、野津田も強い決意を示した。

 磐田との練習試合では、ボランチの川辺とシャドーの位置に入った野津田を中心にボールが回っていた。その堂々としたプレーからも、リーダーとしての自覚が見てとれる。

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