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「今年こそ」。大久保嘉人は
36歳になってもサッカー小僧だ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (c)JUBILO IWATA

 シーズンが進んでも、状況は変わらない。シュートさえ打てないもどかしい試合が続いた。出場17試合で3得点。これが、大久保が昨季の磐田で残した成績だ。

 そもそも、磐田に移籍したのは、「名波さんに得点力不足だから助けてほしい」と言われたからだった。

「そう言われてうれしかったし、川崎でも試合に出ていなかったから、俺が行って変えてやろうって」

 強い気持ちで新天地へ向かったものの、ひとりの力ではチームを変えることはできなかった。

「周りにはいろいろ言ったけど、なかなか難しかったね......」

 過去の大久保のイメージに照らし合わせれば、おそらくキレている状況だ。だから、その疑問をぶつけると、大久保はにやりと笑って、こう答えた。

「いや、キレたよ(笑)。でも、俺がキレたからといって、できるわけでもないからね。だから、もっと要求していこうって。みんな聞く耳を持つし、やろうとするから、今はそれが楽しくなってきた」

 味方に怒りをぶつけるのではなく、できるようになるまで要求していく。若いころの大久保からは、考えられないような懐(ふところ)の広さである。

「そうだね、年齢的なものもあるかもしれないな」

 大久保は柔和な表情で、そう答えた。

「やっぱり、去年のようになりたくないから。みんなでチャレンジしていきたい。たとえば、ミスをしてもいいから、危険なパスを出してみる。そういうところから変わっていけると思うんだよね。みんな、やろうと思ったらできる。違った気持ちになれば、サッカーも変わるんじゃないかなって。だから、今は楽しみな気持ちのほうが大きいよ」

 もちろん、自身がゴールを奪いたいという欲求は、衰えてはいない。

「ここ2年、全然取れてないからね。今年こそ、爆発したいね」

 気持ちは衰えていなくとも、肉体的な面はどうだろうか。今年で37歳を迎える。普通であれば、影響が出てきてもおかしくない年齢である。

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