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「今年こそ」。大久保嘉人は
36歳になってもサッカー小僧だ (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (c)JUBILO IWATA

 もちろん、その間にプレーを見る機会はあったし、試合後のミックスゾーンで大久保の言葉に耳を傾けたこともある。しかし、それはいわゆる囲み取材であり、直接言葉をかわすことはなかった。

 マジョルカでのインタビューから14年、鹿児島でキャンプを張る磐田の取材に訪れると、元気そうな大久保の姿があった。練習後に声をかけると、「おお、久しぶりっすね!」と、意外なリアクションで歓迎してくれた。

 筆者を覚えてくれていたことが意外であり、うれしくもあった。そして、大久保が14年前と変わっていないことも、うれしかった。もちろん、顔には年相応のしわが刻まれ、雰囲気も悪童だったあの頃とは変わり、物腰も柔らかくなったような気がする。

 それでも、サッカーに対するぎらぎらとした想いは、14年前と何ら変わりはない。勝ちたい、うまくなりたい、チームを強くしたい――。同年代の選手が次々と引退していくなか、J1最多得点記録を持つレジェンドは、今もサッカー小僧であり続けていた。

 聞きたかったのは、昨シーズンのことだ。FC東京から川崎に復帰しながら、夏に磐田への移籍を決断。しかし、新天地で思うようなパフォーマンスを見せられず、チームも降格の危機に陥った。東京ヴェルディとの入れ替え戦を制し、降格こそ免れたものの、大久保にとって苦しいシーズンであったことは間違いない。

「移籍してきて、いろいろと衝撃を受けるようなことが多かったね」

 大久保は昨季の心境を吐露した。本音を語ってくれたが、「うまく編集してね」と言う大久保の言葉を要約すれば、パスがつながらず、ディフェンスに走らされる時間が長く、シュートさえ打てない状況だったということだ。

「俺、1試合でシュート5本は打っていたからね。0本の試合が続くことって、今までのサッカー人生ではなかったよ」

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