スペインで苦しんだ自身のJ1MVP受賞に家長昭博が感じたギャップ (2ページ目)

  • 佐久間秀実●取材・文 text by Sakuma Hidemi

 2018年はリーグ戦32試合に出場し、6得点(チーム2位タイ)、7アシスト(チーム1位)を記録。リーグ最多得点に最小失点と、シーズンを通して安定した試合運びを見せたチームにおいて存在感を示した。

「『練習・試合・休み』というサイクルがいい感じにできていたので、2018年はケガも病気もなくシーズンを終えることができたんだと思います。それでも、チームは優勝しましたが、個人としての満足感はそんなにないです。『あの状況では、こう動いてボールをこう止めて、ああやって蹴るべきだった』という場面が沢山ありますから」

 家長は、驚異的なボールキープ、緩急のあるドリブル、左右の足から放たれる正確なパス、ダイレクトプレーなどで相手チームに脅威を与えていた。しかし家長の自身のプレーに対する評価は低く、改善しなければならない点ばかりだと反省する。

 チームメイトの中村憲剛(2016年)と小林悠(2017年)に続き、単独チームでは史上初の3年連続となるMVP受賞についても、「MVPを受賞したからといって、とくに変わりはないですね。『まあ、こんなもんか』と」と素っ気ない。家長が喜びを感じるのは、別のところにあるようだ。

「チームも個人としても日々成長しているので楽しいです。成長している実感があるからこそモチベーションが上がります。すごく勉強になる選手がいるので、フロンターレの一員でいられることは非常に誇らしいですね」

 2018年のJ1ベストイレブンには、川崎から7人もの選手が選ばれた。彼らと行動を共にすることで自身が成長していることを実感する家長だが、とくに6つ歳上の中村憲剛(38歳)から受ける影響が大きいという。

「憲剛さんはすばらしい選手で、Jリーグの顔でもあります。試合に向けたコンディション作りを間近で見ることができるので、自分は得をしていますね。サッカーのためにいい生活を送っているからこそ、あれだけ長く第一線で活躍されているんだと思います」

頼もしいチームメイトに刺激をもらいながらさらなる成長を目指す頼もしいチームメイトに刺激をもらいながらさらなる成長を目指す 家長は2004年にガンバ大阪でプロデビューを果たしてから、スペインと韓国を含めた7チームでプレーしてきた。国内外のチームを渡り歩いてきた家長に現在のJリーグの印象を尋ねると、前かがみになってこう話した。

「Jリーグは規律があって観客数も多いすばらしいリーグです。ただ、スペイン2部と比べてもレベルは低いと思います。自分はスペイン2部でもなかなか試合に出られなかったですからね(笑)」

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