レアルに完敗。鹿島の右サイドが象徴した「キャラと試合展開の不一致」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by MEXSPORT/AFLO

「さあどうぞ」と先を譲られた鹿島。競馬で言えば、後方に待機していなければならない追い込み馬が先頭を走らされているような、居心地の悪さを味わうことになった。鹿島にとってはチャンスだったにもかかわらず、そこで行けなかった。キャラと異なるサッカーになることを避けた。

 キャラと試合展開の不一致。この準決勝で鹿島が善戦できなかった原因をひと言でいうならこれになる。

 それが端的に表れていたのが、鹿島側から見て右サイドの攻防だ。

 鹿島には選択肢が常に2つあった。内田篤人か西大伍か。右サイドバック(SB)の人選だ。グアダラハラ戦で先発したのは内田で、このレアル・マドリード戦は西だった。攻撃センスが高いのは西。だが、対峙するレアル・マドリードの左ウイングはガレス・ベイルで、クリスティアーノ・ロナウドがいなくなったいま、チームでもっとも推進力の高い選手である。

 だが、レアル・マドリードは、チームとして「さあどうぞ」と鹿島に攻撃を促してきた。西はそうした意味で、攻撃参加しやすい状況にあった。

 そのとおりに前に出れば、その後ろはベイルに狙われやすくなる。しかし一方で、対峙するベイルが西の動きに反応すれば、その位置取りはおのずと下がる。西の攻撃参加には、ベイルの攻撃力を抑える効果があるのだ。馬力のあるベイルといえども、行動の始点が下がれば、威力は半減する。

 行くべきか、待機すべきか。西(というか鹿島)が選択したのは後者だった。

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