鹿島のスカウト担当部長は、「安部裕葵に柴崎岳と似たものを感じた」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

 背番号3は、3失点という現実を前に踏ん張るように語り続けた。自身に対する落胆に折れるわけにはいかないからだ。

「失点に絡んでいろんなことが、よみがえってきた。今までも失点に絡んだことで成長できたから。今日はチームに迷惑をかけたぶん、決勝は、俺がチームを救う番だと思っている。(岩政)大樹さんが最近引退したけど、大樹さんに代わり、3番をもらった僕は、ずっと『鹿島のディフェンスを支えるのは自分だ』と言い聞かせてきている。今日みたいな(失点に絡む)ケースは何度も経験し、味わってきた。そういうなかで、強い気持ちを曲げたことは一度もない。そうやって戦うこと、『鹿島の3番』の覚悟を決勝の舞台で見せられるチャンスを仲間が作ってくれた。3番の魂と覚悟を持ち、鹿島のDFは自分が中心なんだという想いで決勝に挑みたい」

 復帰からわずか10日で、浦和戦に続く先発となった昌子。失点はよくないけれど、熱量の高い試合をこなすことで、戦士としての感覚を一気に取り戻せるのかもしれない。

「今年ACLに初めて出ることになり、本当にいろんなことを経験している。決勝トーナメントでも上海上港や天津権健のアウェーを経験していたからこそ、アウェーの空気にのまれることなく、相手が来ても俺はずっと負けないという気持ちでやれたと思う。ACLは面白いですね。国を背負って戦う舞台は初めてなので、ワクワクする。このタイトルは鹿島の歴史に自分の名を刻めるチャンスだと思う」

 今季加入したばかりの安西が語ったのが印象的だった。

 過去、決勝に進出したJリーグ勢はみなタイトルを手にしている。鹿島がそれに続けるのか? クラブ20冠が悲願のアジア制覇となるのか? そのためにやるべきことは少なくない。決勝第1戦は11月3日ホーム、カシマスタジアム。Jリーグ柏レイソル戦を挟み、11日に敵地テヘランでの第2戦が待っている。

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