J1残留争いの主役は長崎。最後の踏ん張りで空前の大混戦に!

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

 V・ファーレン長崎がJ1残留争いを大混戦にさせている。

 第30節、最下位長崎と暫定17位のジュビロ磐田の対戦。長崎は中盤から激しくプレスをかけ、磐田のCF川又堅碁への縦パスを入れさせないようにしていた。一方の磐田は3バックから4バックに変え、長崎のサイド攻撃をケアする。その結果、前半はお互いに相手のよさを消し合う展開で、シュートの少ない試合となった。

 後半に入ると、磐田はロングボールとショートパスを使い分けて長崎のゴールに迫る。さらに大久保嘉人、小川航基と攻撃的な選手を投入するが、ゴールに結びつかない。

 長崎はカウンターからチャンスをつくり、終盤にはハイロ・モリージャスを投入。しかし、お互いに体を張ったディフェンスでゴールを割らせず、結局、0-0で引き分けた。両チームの選手から、勝ちたいという気持ちと必死さが伝わってきた試合だった。

 長崎にとっては勝ち点3がほしい試合だった。だが、引き分けて勝ち点1を加えたことで、残留争いにギリギリ踏みとどまったともいえる。

J1残留に向けてギリギリの戦いを続けるV・ファーレン長崎の高木琢也監督J1残留に向けてギリギリの戦いを続けるV・ファーレン長崎の高木琢也監督 それにしても、正直、長崎がここまでやると誰が思っただろうか。J1開幕前の順位予想では断トツ最下位。その予想どおりに、長崎が早々と降格を決定的にしていれば、残留争いはもっと絞られていたといっていいだろう。長崎の踏ん張りこそが残留争いを混戦に導いたといっていい。

 長崎のベースは運動量にある。これは、高木琢也監督が横浜FCをJ1に昇格させたときと同じだ。磐田戦でも、後半38分の疲れが出てくる時間帯に、右サイドでファンマがボールをキープすると、アウトサイドの飯尾竜太朗がオーバーラップを仕掛けている。チャンスにはならなかったが、この時間帯になってもスプリントを惜しまない走力が光った。

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