2018.10.21

バルサ化は1日にしてならず。
ヴィッセルのリージョ革命は間に合うのか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 立ち上がりから、危うさはあった。川崎フロンターレの素早いパス回しに対応できず、ラインの裏を取られる場面が目立ち、11分には右サイドを崩されてPKを献上。あっけなく先制点を許してしまった展開に、ヴィッセル神戸の脆(もろ)さが垣間見えた。

逆転負けを喫して険しい表情のアンドレス・イニエスタ「稀代の戦術家」と呼ばれるスペイン人のフアン・マヌエル・リージョ監督が正式に指揮を執るようになってから2試合目。"バルサ化"を狙う神戸に、どのような変化が生まれているのか。故障明けのアンドレス・イニエスタが久しぶりにスタメン復帰したこともあり、首位チームに挑むこの一戦には大きな注目が集まっていた。

 しかし、終始目についたのは、神戸のバランスの悪さだった。最終ラインから丁寧につなごうという意図は感じられたが、そのパス回しは決してスムーズとは言えず、距離感もよくなかった。横パスをさらわれてカウンターを浴びる機会も少なくなく、ビルドアップのクオリティが伴っていなかった。

 バランスの悪さを招いた要因は、リージョ監督が求めるスタイルに起因する。「相手陣内でボールを支配すること」。これが、スペイン人指揮官が放つキーワードだ。

 そのためには、高い位置でのボール奪取が求められる。全体をコンパクトにし、最終ラインは必然と高くなる。前線がパスコースを限定し、ボランチやセンターバックがクサビのパスをつぶして、すぐさま攻撃へと転じる。

 しかし、そこで剥がされると、一気に危機に陥る。ツボにハマれば効果的だが、かわされれば致命傷になりかねない。その表裏一体のスタイルが、危うさを感じさせた一因だった。

 前半はまだよかった。失点直後にすぐさまオウンゴールで同点に追いつくと、28分にはルーカス・ポドルスキのパスを受けた古橋亨梧が豪快なミドルを突き刺して逆転に成功。さらに35分には、今度は三田啓貴の鮮やかなミドルシュートが決まって、3−1と王者を窮地に追い込んだ。