プロ生活14年を全う。田代有三は
「未練なくサッカーをやめられた」

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

田代有三インタビュー(後編)

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 2005年、鹿島アントラーズで始まったプロサッカー選手としてのキャリアは、2011年まで続いた。うち、2010年にはモンテディオ山形に期限付き移籍をしたものの、再び鹿島に戻った2011年にはキャリアハイとなる12ゴールを挙げて、輝きを見せる。それによって"自信"をつかんだ田代有三は、同シーズンを最後に鹿島を離れ、ヴィッセル神戸への完全移籍を果たす。以降のサッカー人生は、2〜3年ごとに目まぐるしく動いた。

「2011年の鹿島で再び自信を取り戻せたなかで、鹿島では周りに引っ張られる立場だった自分が、他のクラブでどんな存在感を示せるのか、チャレンジしたかった」

 その考えから、ヴィッセル神戸ではピッチの内外で「自分の考えを周りに伝えること」を意識して過ごし、オフィシャル雑誌の創刊に尽力するなど、いろんなことに目を配りながらサッカーに向き合った。そのことはプレーにも好影響を与え、2012年は序盤こそケガで戦線離脱を余儀なくされたものの、復帰後初のJ1リーグ出場となった第7節の柏レイソル戦で、移籍後初ゴールを決めるなど存在感を示す。結果的にその神戸には、2014年までの3年間在籍した。

「神戸には29歳での移籍でしたが、オーナークラブという環境のなかで、いろんなことがスピーディーに動き、変化していくことを新鮮に感じながら過ごせました。結果を出せなければ、監督も選手もどんどん変わっていったけど、それもクラブのあり方のひとつというか。

 いいと思ったものは、一選手の意見でもどんどん取り入れてくれる柔軟性もありましたしね。そのことはサッカーをいろんな角度から考えるきっかけにもなりました。ただ、神戸での3年間をトータルすれば、悔しい思いのほうが色濃く残っている気がします。

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