プロ生活14年を全う。田代有三は
「未練なくサッカーをやめられた」 (4ページ目)
現役引退を発表した田代有三「鹿島を離れてからの7年間では、『自分が周りを引っ張る立場になろう』と思ってやってきましたが、そのときに気づいたのは、僕には鹿島の先輩たちのような、『俺についてこい』的な自分を見せられるだけの実力も、人としてのキャパシティもなかったということ。それが、日本代表に定着できなかった理由だと思います。
でも、そこに気づけたのは、今後のキャリアに向かううえではすごく大きかった。それに、サッカー人生をトータルして振り返っても、悔しさより、うれしさのほうが多いサッカー人生でしたから。
もちろんそのつど、所属したチームで試合に出られなかった悔しさとか、結果を残せなかった歯がゆさはありましたよ。毎年1度は大ケガに見舞われたこともそうですしね。でも、そういった悔しさは瞬間的な感情で、トータルして考えれば、うれしかったことのほうがはるかに多い。
それはおそらく、契約してくれたすべてのクラブ、可愛がってくれた先輩、同じ時間を全力で共有できた仲間、応援してくれるファン、サポーター、そして側でずっと支えてくれた家族がいたから。もっと遡(さかのぼ)れば、中学、高校、大学といろんな先生にお世話になって、その導きによってたくさんのいい出会いに恵まれて、"プロサッカー選手"という職業を14年間も続けられた。
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