2018.10.20

3バックで降格圏脱出の名古屋。
風間監督がシステムより重視するもの

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Etsuo Hara/Getty Images

「守備は守備だけで成立しているのではなくて、相手に崩されるよりも、自分たちでボールを渡してしまい、勢いづかせてしまう。そこはケアしていきたいですね。今日も出てしまったところはあったんですが」

名古屋グランパスの攻撃を牽引する元ブラジル代表ジョー(左) 試合後の記者会見で、名古屋グランパスの風間八宏監督は、自らのロジックを解剖するように言った。

 ボールプレーの構造というのは、パスワークにある、と誤解されやすい。それは表層的なものであって、実際は、ボールを失わない、という技術が欠かせない。失わないことで、味方にスペースやタイミングが生まれる。周りも信じて走ることができる。

「あいつに預けたら、必ず(パスが)出てくる」

 お互いの信頼関係が、パスワークを生み出すのだ。

「(3バックにした)システムよりも、選手たちの個性が出る戦いをしている」

 風間監督は「サッカーをする」選手のキャラクターをまず選び抜き、自らのチーム戦術に落とし込んでいる。それは、たとえ負けても価値あるもので、Jリーグでは出色の域にある。そして選手は勝利することで、確信を得るはずだ。

 10月19日、三協フロンテア柏スタジアム。J1残留を争う16位の名古屋は14位の柏レイソルの本拠地に乗り込んでいる。順位は下だが、名古屋は2試合少なく、勝てば残留に向けて大きな一歩となる。

 しかし序盤、攻め立てたのは柏だった。ホームの大声援に押され、名古屋を自陣に押し込む。前半11分、右サイドで日本代表の伊東純也を中心に、江坂任、小池龍太が攻撃をつくる。その間隙を縫うように、中央やや左から2列目に入った大谷秀和が、横パスを左足ミドルで狙い、名古屋GKランゲラックを脅かしている。相手のパスの出どころを潰しながら、サイドを中心に崩し、ゴールに迫った。