ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、やり続けたことが成果になっている」 (6ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――そういう個人主義を許さないのが『スピリット・オブ・ジーコ』だと思います。それがあるからこそ、アントラーズは強豪と呼ばれる結果を生んだのですね。

「当然ながら、繋がっていると思います。なぜかといえば、私のキャリア、優勝回数を見てもらえれば、今は3つの言葉になっていますが、『スピリット・オブ・ジーコ』と関連性があるんじゃないかなと感じます。

 ただ、『スピリット・オブ・ジーコ』があったから、アントラーズが勝ったのかと言えば、そうではありません。当然、優秀な選手がいて、優秀な監督がいて、フロント、サポーターのみなさんが一体となり、こういう結果に繋がったというのは間違いありません。25年間のアントラーズの歴史のうち、私がいたのは11年間だけ。残りの14年間はいなかったわけだから、私の存在がその結果に繋がったということではないんです。だから、あくまでも、その『スピリット・オブ・ジーコ』を引き継ぎ、やり続けたことが、このような結果になったのかなと思っています」

――偶然ではないと。

「『スピリット・オブ・ジーコ』は私が急にひらめいて作りだしたとか、無理やり作ったのではないということだけは、明確にしておいてほしい。これはあくまでも、私が人生、サッカー人生を生きるうえで、私の先輩方とか、チームメイト、フラメンゴ、ウディネーゼ、ブラジル代表での経験、勝者として認められたことを経て培ったものであり、それを私は、ここ鹿島アントラーズにDNAとしてインプラントしたわけです。

 アントラーズを離れて、ほかの代表やクラブ、国でも、私は同じことを言い続けてきましたし、徹底してきました。多少、結果という意味ではそれぞれ違ったかもしれませんが、ともに仕事をしてきた人にとっては、ある程度の成果を残せたと考えています。

 ここには『献身・誠実・尊重』という3つの言葉に集約されていますが、ここから派生するいろいろなものが存在し、大切にすべきものはあります。それでもやはり骨格となるのは、この3つであることには間違いないと私は考えています。ただ、これは別に強制するものではないし、私はこれを大切にして勝者としてこの世界を生きてきた。しかし、成功の秘訣がこれだけとは限りません。ほかのやり方で、成功することもあるでしょうから」

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