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王者川崎の強烈なレッスンにKO寸前。
この刺激がグランパスを強くする

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 開幕2連勝と好スタートを切りながら、その後は15試合勝利なし。ワールドカップ中断前までダントツで最下位に沈んでいた名古屋グランパスが、中断明け後に驚異のV字回復を見せている。

川崎の巧みなプレスの前にジョーも不発に終わった川崎の巧みなプレスの前にジョーも不発に終わった 第19節のベガルタ仙台戦から、怒涛の7連勝。しかもその勝ちっぷりは豪快で、鹿島アントラーズに4−2、浦和レッズに4−1、ジュビロ磐田には6−1と、圧巻のゴールラッシュを披露。第26節のV・ファーレン長崎戦に敗れ、連勝は止まったが、スコアは3−4と、攻撃スタイルを標榜する名古屋らしい負けっぷりだった。

 連勝中の7試合で奪った得点は24。1試合平均3点以上を記録する名古屋は、今のJリーグでもっとも破壊力を秘めたチームといっても過言ではない。

 復調の要因は、今夏に加入した新戦力の存在が大きい。前所属先で出番を失いかけていた実力者を次々に迎え入れ、開幕時とは半数近くのメンバーを入れ替えている。

 丸山祐市(前・FC東京)、中谷進之介(前・柏レイソル)、エドゥアルド・ネット(前・川崎フロンターレ)がセンターラインを強固なものとし、金井貢史(前・横浜F・マリノス)は攻撃型のサイドバックとしての真骨頂を発揮。前田直輝(前・松本山雅FC)は鋭いドリブルで推進力を生み出し、豪快なフィニッシュワークで得点力を高めている。

 彼らの存在以上に強烈なのが、元ブラジル代表の肩書きを背負って今季加入したジョーだ。7連勝中、出場停止で欠場した1試合をのぞき、6試合に出場して12得点。この間、2度のハットトリックを達成するなど、規格外の決定力を示している。

 そして何より、この7連勝は風間八宏監督が標榜する攻撃スタイルがチームに浸透してきたことの表れでもあるだろう。間を通す縦パスを発端に、次々に人が絡んでいき、最短のルートを辿ってゴールに迫っていく。一見リスキーでありながら、高い技術と的確な判断が備わっていれば、これ以上効果的な攻撃はない。指揮官の求める難度の高いサッカーは、着実に名古屋の選手たちに根付き始めている。

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