イニエスタ特需のいいとこ取り。FC東京、ホクホクで首位・広島に迫る (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 対照的に、してやったりはFC東京の長谷川監督だ。「前半から厳しい戦いになった」とはいえ、「慌てず、相手のスキを突くことができた。交代選手が決めてくれて、チーム全体の力で勝利を収めたことは大きい」と、満足げな様子だった。

 FC東京のMF米本拓司も「正直、メチャクチャ暑かった」と振り返り、こう語った。

「でも、だからこそ、相手より1歩でも2歩でも前に出られれば勝つことができるし、意識してスプリントもしなければいけないと思っていた。それが、ウチの生命線だから」

 米本と2ボランチを形成したMF高萩洋次郎も、「暑いのは相手も一緒。ウチは走れる選手がそろっているし、後半は相手のほうが(運動量が)落ちた」と語り、酷暑のなかでの打ち合いも望むところと言わんばかりだった。

 しかも、同時刻に行なわれた試合で、首位のサンフレッチェ広島が試合終了間際のオウンゴールにより、湘南ベルマーレと2-2で引き分けていた。この結果、2位のFC東京と広島との勝ち点差は5に縮まった。ギリギリのところで、勝ち点1を勝ち点3に変えた見返りは大きかった。

 さて、FC東京が貴重な勝ち点3を手にしたこの試合。過酷な環境下で行なわれたことはすでに記したとおりだが、この日の暑さ、いや"熱さ"は必ずしも気象条件によるものだけではなかっただろう。

 この試合で味スタに集まった観衆は、実に4万4801人。チケットは前売り段階で完売し、試合後には報道陣に大入り袋まで配られた。ワールドカップの閉幕とともにJ1が再開されて以降、味スタでの最多観客数だった第17節、横浜F・マリノス戦の3万4126人と比べても、1万人以上も増えたことになる。

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