トーレスだけじゃない。異色のMF加藤恒平は、鳥栖巻き返しのキーマン (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文・写真 text & photo by Kurita Simei

――昔から海外志向は強かったんですか?

「小学校のときに、中田英寿さんがペルージャで活躍してるのをテレビで見てから、ずっと憧れを抱いていました。だから、『Jリーガーになりたい』というより、『ヨーロッパでサッカーがしたい』というのが僕の原点なんです。大学を卒業してから1カ月だけドイツに行ったこともあるんですが、うまくいかないことだらけで。英語もドイツ語も話せないし、日々の生活も困難なことばかりでした。

 それでも、ピッチ上でいいプレーしたら、国籍は関係なく認めてくれるということを体感したんです。アルゼンチンにも行きましたが、あそこほどサッカーに熱い国はないんじゃないかと(笑)。そんな経験から、『サッカー文化が根づいていて、その熱を感じられる環境でプレーしたい』という思いが強くなったんです」

インタビュー中は終始笑顔で質問に答えてくれたインタビュー中は終始笑顔で質問に答えてくれた――昨季は日本代表にも選出されるなど、環境に大きな変化がありましたね。

「周りの方からはいろんな言葉を頂いたのですが、僕自身は特に変わったことはなく、舞い上がるという感覚もなかった。結局、試合には出られなかったですし、まだまだ力が足りないと痛感しました。かといってまったく何もできなかったかというと、そうでもない。

 僕は、日本にいたときは代表からは見向きもされない選手でしたが、ヨーロッパに行ったことで成長できている手応えを感じました。また、通用したところ、通用しなかったところ、今後やるべきことを定めるキッカケにもなった。これまでのプロセスやアプローチは間違っておらず、今後もコツコツ積み上げていくことで上を目指せるという確信を持ちました」

――通用した部分、課題に感じた部分を具体的に教えてください。

「手応えを感じたのは、相手への厳しさ、激しさ、ボールを奪う意識など、守備の部分ですね。僕は守備でも攻撃でもチャレンジしたいタイプで、そういった姿勢やサッカーへの考え方の部分も含めてです。どの国でも、チャレンジしたうえでのミスは怒られませんでしたが、チャレンジしないプレーは激しく咎められた。この感覚はヨーロッパでの経験がないと、なかなか身につかないものだと思います。一方で課題は、そういった要求をこなせる技術を身につけることです」

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