あの元ヴェルディ監督が、レアル・ソシエダの育成組織を見て驚いたこと (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko

 Cチームの中心は19歳か20歳、あるいは18歳くらいの選手たちです。でも、18歳から20歳で本当にいい選手はもうBかトップにいる。そこに行けない選手がCに残っているという側面もあります。だからゲームもすごく難しいし、うまくいかないことも多い。U-19になると、それはそれでいいサッカーをするんですけど、U-21というのは、選手の状態としても試合環境的にも難しいですね。

 自分がヴェルディのトップチームの監督をやっていたときは、平均年齢22歳とか23歳で戦っていたんです。もちろん、欧州にはそれくらいの平均年齢でチャンピオンズリーグに出るようなチームもあるから、僕の力のなさではあるのだけれども、育成が大事という話になると、試合機会を与えて戦える集団にするには大事な年齢だと思いますね」

――練習内容などに違いがありますか?

「こっちではU-14から知的感情の授業があるんです。週1回、練習前にクラブに所属している心理学の先生に座学で学ぶんです。この前の試合はどうだったか、円卓で監督、コーチも一緒になって話し合う。プレーもそうだし、それ以外のことについても意見を言わせるんです。『それはポジティブなことか?』『ほかにないか?』と、心理学の先生が進めていく。

 対になる言葉を書いて、それに合わせて試合を振り返ってみるということもします。例えば『静か』と『うるさい』という2つの言葉で、試合中どうだったかを自分で評価したり、監督とコーチを評価したりする。『この間のゲーム、監督うるさかったよね』とか。

 Jリーグのアカデミーにはそんな(心理学に通じた)人材を雇う余裕はないですけど、子供の頃からそういう感情面の教育に接することは必要だなと感じました。僕なんて、そういうものにプロになって初めて接しましたから」

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