中田浩二「アントラーズの紅白戦は
きつかった。試合がラクに感じた」 (2ページ目)
「Jリーグ初年度のファーストステージで優勝し、ジーコがもたらしたスピリッツを証明できたと思います。当時のスタッフがそれを大切にし、今に至るまで、そのスタンスをずっと変えずに来たことが大きいと思います。
『勝利へのこだわり』を持ち、『強いチーム』として結果を残してきた。鹿嶋という場所柄、勝たなくちゃいけないという現実があった。弱ければ、試合を見に来てくれる人はいないだろうし、選手も集まらない。だから、クラブ全体がトップチームの勝利のために力を尽くしている。サポーターはもちろん、スポンサーの方々もいっしょに戦ってくれている。それを引退後、痛感しています」
――新人選手として感じた鹿島の「勝利へのこだわり」とはどういうものでしたか?
「当時、本田(泰人)さん、秋田(豊)さん、相馬(直樹)さん、名良橋(晃)さんと、日本代表選手がたくさんいるレベルの高い環境だということは自覚していました。
たとえ練習であっても、ちょっとしたポジショニングが違っていたり、サボるとすぐに怒られる。誰かが手を抜いて、チーム内の共通理解が壊れたら、試合ではそこを突かれてしまう。練習から試合を想定しているので、曖昧な状況を許さないんです。練習中からたくさんの議論があり、選手それぞれが『チームの勝利のためになにをすべきか』を考えていることが伝わってきました」
――選手同士、要求をし合っていると......。
「自分がこういうプレーをしたいからというんじゃなくて、すべてが『チームのため』という前提があった。しかも、誰かが一方的に訴えるだけじゃなく、話し合っているんです。『こういうポジションをとってほしい』『だけど、そこはこうなんじゃないのか?』と、お互いをリスペクトしたうえで、納得するまで話し合う。
それは練習後にも続きます。10分で終わることもあれば、マッサージを受けながら1時間続くこともある。同じ意識を共有するために、濃いコミュニケーションを日々行なっているので、試合でそれを落とし込める。選手がチームの勝利に真剣に向き合っていると強く感じました」
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