福田正博が力説する、川崎フロンターレのJ1優勝がもつ大きな意味 (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 ベガルタ戦の前、9月に入ってからの川崎は、試練の連続だった。

 まずは、9月13日に行なわれたACL準々決勝の第2戦。浦和レッズ相手に第1戦を3−1で勝ち、圧倒的優位にあった川崎だったが、エウシーニョのゴールで先制点を奪ったにもかかわらず、車屋紳太郎の"一発レッド"から流れを失った。結果は1-4と大差をつけられ、戦前に確実視されていたベスト4進出を逃した。

 さらに、9月23日のヴィッセル神戸戦で、MFの大島僚太と阿部浩之が揃ってケガをし、戦線離脱を余儀なくされていた。川崎が主力2人を欠いたことで、10月からのリーグ戦終盤を乗り切るのは難しいと思っていた。

 そんな重苦しい雰囲気を一変させたのが、第29節の仙台戦だった。ここで川崎が踏ん張ったことが、鹿島に大きなプレッシャーを与えたことは間違いない。

 2016年シーズンからのチーム最大の変化は、監督が交代したことだろう。2012年から指揮を執っていた風間八宏(現・名古屋グランパス)監督が退任。その跡を継いだ鬼木達監督は、風間監督時代のコーチの経験を生かし、それまでに築いてきた攻撃力を継承しながら守備の意識を選手たちに植えつけた。

 2016年までに多かったセットプレーからの失点が減り、全体の失点数もリーグで3番目に少ない32失点。ケガ人が多かったシーズン序盤を乗り切れたのは、守備を改善して勝ち点を取りこぼさなくなったことが大きい。

 総得点では、リーグ2位のセレッソ大阪の「65」を上回る「71」。大久保嘉人が移籍で抜けたが、川崎の攻撃は個の力に頼るサッカーではなく、チーム全体で相手を崩していくスタイルだ。そのため、開幕前から心配はしていなかったが、小林悠が23ゴールで得点王に輝くなど、大久保の穴を埋めてあまりある活躍を見せた。

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