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アントラーズ、よもやのV逸。
「王者のメンタリティ」が最後に仇となる (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 鹿島と川崎の関係は、昨季とは逆のパターンだった。昨季は鹿島がリーグ戦4連敗で迎えたチャンピオンシップ準決勝で川崎に勝利。これを弾みにして決勝でも浦和レッズを撃破しチャンピオンの座に就くと、続くクラブW杯でも快進撃を続け、見事日本勢として初めて決勝に進出。レアル・マドリードと名勝負を繰り広げた。元旦の天皇杯決勝でも川崎に勝利。盟主の座を揺るぎないものにした。

 昨季、引き立て役に回った川崎に、鹿島は敵(かたき)を討たれた格好だ。災いしたのは王者のメンタリティー。鹿島の偉大な伝統が、最後にきて、昨季終盤に魅せたチャレンジャー精神を忘れさせ、受けに回らせた。理屈を言えばそうなるが、単純に、勝っていても何ら不思議のない、運に恵まれなかったがゆえの敗退劇だったとも言い表せる。

 舞台を去るその姿は、少なくとも第三者には美しいものとして映ったのだった。

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