J2降格の大宮アルディージャ。
5位からの転落劇に虚脱感だけが漂う
シーズン最後のホームゲームが終わった。ピッチでは、ベンチコートを羽織った選手たちが、うつむき加減にのそのそ歩き出した。
「前を向けぇ!!」
大勢の観客が居残ったスタンドからは、男性の叱咤する声が聞こえる。一方で、いたわるような眼差しを向ける人たちもいた。
「今日は気分が乗らなくなっちゃったよ」
首から関係者パスをぶら下げた中年男性はぼやき節だ。どんな予定が入っていたのかわからないが、全身に虚脱感が滲む。スタジアムという箱の中で、様々な感情がないまぜになっていた。それが「降格」という現実なのだろう。
J2降格が決まり、ゴール裏のサポーターに頭を下げる大宮の選手たち 2017年11月26日、NACKスタジアム。J1第33節、17位大宮アルディージャは残留をかけ、16位ヴァンフォーレ甲府との戦いに挑んでいる。
「勝たなければ降格」。残留を争う直接対決というプレッシャーも重なるだけに、ファンは選手の気持ちを少しでも楽にしようとしたのだろう。「ENJOY!!!」。試合開始直前、ゴール裏で人文字を掲げている。楽しむ。その境地に達することができれば、重圧ははねのけられる。
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