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福田正博も感心する「J1残留スペシャリスト」
甲府の強靭なメンタル (2ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 そんな得点王争い以上に過酷になっているのが残留争いだ。

 現時点で最下位のアルビレックス新潟は、首の皮一枚がつながっている状態だ。10月14日のガンバ大阪戦に引き分けるか負けるかで降格が決まっていたところを、1-0で17試合ぶりとなる今季3勝目を手にして踏みとどまった。

 新潟は5月11日に三浦文丈前監督が辞任し、呂比須ワグナーを新監督に迎えたものの、5月20日の第12節でコンサドーレ札幌に勝利してからG大阪戦までの17試合を1勝4分12敗と苦しんだ。

 成績低迷の原因は、昨季までチームの中核を担っていたレオ・シルバ(→鹿島)とラファエル・シルバ(→浦和)を引き抜かれ、その穴を埋められなかったことに尽きるだろう。新潟はこれまで外国人選手の補強がうまく、J1昇格1年目からJリーグにフィットする選手を獲得してきたが、今季は思い通りにはいかなかった。

 2004年から14シーズン戦ってきたJ1の座を守るには厳しい試合が続くが、上位のG大阪を破った勢いを保ち、残る5戦も粘り強く戦ってもらいたい。

 17位の大宮アルディージャも土俵際に追い込まれている。昨季はクラブ最高成績の5位と躍進し、天皇杯でもベスト4に進んだが、今シーズンは開幕から6連敗とスタートダッシュに失敗。5月末に渋谷洋樹前監督を解任し、伊藤彰監督に指揮を任せたものの、悪い流れを断ち切ることはできなかった。

 大宮も新潟と同じく、昨季までの主力が抜けたことが大きかった。今季に向けて、大前元紀(←清水エスパルス)や茨田陽生(←柏レイソル)など、実績や経験の豊かな選手を獲得。十分な補強ができたかに思われたが、川崎Fに移籍した家長昭博のようにボールを収められる選手がおらず、攻守両面で苦労することになった。

 ただ、残留のボーダーラインである15位のヴァンフォーレ甲府との勝ち点差は5。柏、C大阪、川崎Fなど上位陣との試合をどうしのぐかが、降格圏脱出のカギとなる。

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