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ペトロビッチ流を「脱却」か「進化」か。
OB福田正博も悩む浦和の未来 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 それならば戦術を変えればいいという考えもあるが、これが浦和の場合はとても難しい。なぜなら、5年半かけて築いてきたペトロビッチ前監督のスタイルのサッカーでこそ輝く選手を集めてきたからだ。

 もちろん、選手たちは、プロフェッショナルだから求められたことはやり抜くはずだ。守備を固めるという指示があればそれを守るだろう。しかし、それだと、たとえば攻撃に特長を持つ槙野や森脇の最大の持ち味を消すことになってしまう。

 これは他の選手にも言えることで、いまの浦和にいる選手のほとんどが、ペトロビッチサッカーを成熟させるために集められた選手。言い換えると、鹿島のようなシンプルなサッカーでは、個々の持ち味が消えてしまう選手たちということでもある。

 そうしたメンバーが揃うチームのため、堀監督がペトロビッチ前監督と異なる方向性のサッカーをやろうと考えたとしても、それを実現するのは時間的制約などもあって、とても難しいだろう。

 堀新監督にバトンを託したのは、ペトロビッチ監督のもとでトップチームのコーチをしてきた経験を活かし、いいところを引き継ぎながら......という判断なのだと思う。ただ、それですぐにうまくいくような簡単なものだったら、世界中のサッカークラブが指揮官選びで右往左往することはない。

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