主将・豊田陽平が描くサガン鳥栖
「前半戦10位からのタイトル獲り」 (3ページ目)
例えば右サイドバックに小林祐三が入って守備の堅牢さはかつてないものとなり、サイドに「ボールの出口」もできた。小野裕二は攻守に非凡さを見せ、原川力はプレースキッカーとして異彩を放っている。また、ユース上がりの田川亨介の走力の質の高さとボールを叩く感覚は、特筆に値するだろう。
チームとして、殻を破りそうな気配はある。
その一方、失われたものもある。ユン・ジョンファン監督体制のときに根付いた鳥栖イズムは、薄れつつあるだろう。例えば相手をたじろがせるようなプレスはなく、長いボールに殺到する威圧感も失われた。
「今はチームの形を作り上げているプロセスだと思うのですが、やっぱり攻撃の迫力は出したいですね」
今シーズンもチームトップの4得点を挙げている豊田は、そう持論を口にする。豊田は2010年に鳥栖に入団し、2011年にはJ2得点王となってチームをJ1昇格に導いた。2012年から5シーズン合計(リーグ戦のみ)で83得点を記録し、これは大久保嘉人に次ぐ。ヘディングの技術はJリーグ随一だ。
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