泥臭く走るしかない!「レベルが低い」
今季の東福岡が目指すサッカー (3ページ目)
だが、個の能力の高さがチーム力のすべてではないことは、近しい先輩が証明している。
中村健人(明治大)がキャプテンを務めていた2代上の世代も、その前年に中島賢星(横浜F・マリノス)と増山朝陽(横浜FC)という「超高校級」の選手がおり、チームが代替わりした当初は「最弱世代」のレッテルを貼られていた。しかし、その反骨心からチームはまとまり、勝利への執着心が生まれ、結果としてインターハイと選手権の二冠を達成。1年生の時にその快進撃を目の当たりにした3年生MFの青木真生都(まいと)も、そのチームを目標に掲げている。
「ひとつ上の代の"個"がしっかりあるチームじゃなく、健人くんたちの代みたいに全員が泥臭く戦うチームを目指したほうがいいと思っています。まずはしっかり全員が走って、コミュニケーションをとりながら戦っていけたらいいと思います」
進むべき道は見えている。あとは、10番の福田が「ひとりでも『自分たちも健人くんたちの代みたいになれる』と簡単に思ってしまったら勝てないと思います。練習の中で互いの意見をぶつけ合う、厳しい環境の中で競争したからこその二冠ですから」と気を引き締めるように、すべての選手が高いモチベーションを保てるかどうかが、チーム成長のカギとなる。
東福岡は、6月4日に行なわれたインターハイ福岡県予選の決勝に勝利し、本戦出場を決めた。それでも森重監督は「1日1日を無駄に過ごすことがないようにやっていきたい」と欲を出さずに前へ進む。一歩ずつの成長の先に、2度目の偉業達成が見えてくる。
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