鹿島・大岩監督が求めた3つのこと。新体制でも王者の哲学は変わらず

  • 原田大輔●取材・文 Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 鹿島アントラーズの新たな指揮官となった大岩剛監督は、サンフレッチェ広島に3-1と勝利した初陣を振り返り、「ホッとしている、というのと、90分間長かったな、というのが正直な感想です」と言って、安堵の表情を浮かべた。

初采配を勝利で飾った鹿島の大岩剛新監督(右)。左は小笠原満男初采配を勝利で飾った鹿島の大岩剛新監督(右)。左は小笠原満男 昨季のJ1王者である鹿島が、AFCチャンピオンズリーグの敗退を受けて、石井正忠監督の解任を発表したのが5月31日。同時に大岩コーチが昇格し新監督に就任することが決まったが、6月4日に行なわれたJ1第14節の広島戦まで、準備期間はわずか4日しかなかった。

 大岩監督自身も試合後には「みなさんが思われているとおり、いろいろあった中での試合だったので、難しい部分もあった」と、少ない時間の中で臨まなければいけなかったことへの苦労を吐露した。それでも選手起用と采配からは、少なからず新監督の"色"を感じることができた。

 広島戦に向けた限られた時間の中で、大岩監督が特に選手たちに求めたのは、次の3つだったと言う。

「チーム自体のコンセプト、ベースとなる部分はまったく変わらないので、それをもう一度、まずは思い出すこと。あとは、自分たちがボールを保持しているときに、シンプルにボールを動かすこと。そして、チャンスがあれば、積極的にボールホルダーを追い越していくこと」

 先発メンバーについては、「ケガ人が多くいる中で、選手の選択肢というのは限られていた」(大岩監督)とはいえ、抜擢したMF中村充孝が先制点を挙げ、MFレアンドロが2得点を奪った結果は、そうした新指揮官の意図、選手への意識づけが結実していた証(あかし)と言える。

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