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「フジタ」撤退から激動の10年。
それでもベルマーレは消滅しなかった (8ページ目)

  • 川端康生●文 text by Kawabata Yasuo
  • photo by Kyodo News

 取り組んだすべてが成功したわけではない。もちろん、台所事情が劇的に好転したわけでもない。

 だが、ベルマーレは転んでもただでは起きないしぶとさと進取の精神で、存続と挑戦を続けた。

 歓喜の瞬間が訪れたのは2009年12月5日だった。

 フジタの撤退とJ2降格から世紀をまたいでちょうど10年。ようやくベルマーレはJ1への復帰を果たしたのだ。

 祝勝会は平塚で行なわれた。大勢のサポーターと市民が待ち受けていた。デーゲームだったのに、選手が到着したときにはすっかり日が暮れていた。試合が行なわれた水戸から200キロ。ホームタウンまで戻ってきたからだ。

 入場してくる選手たちとサポーター、そして市民がハイタッチをかわしている。ステージに立った指揮官を歓声が包む。

 10年間、生き残ってきた。そしてJ1に戻れた。

 10年かかった。気がつけば重松が口にした「地元に応援してもらえるチーム」になっていた。

(つづく)

=敬称略

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