「フジタ」撤退から激動の10年。
それでもベルマーレは消滅しなかった (6ページ目)
「当時、銀行管理下にあったはずのフジタにとって(資本金を残すことは)簡単なことではなかったはず。それを、重松さんや藤田(一憲)オーナーが苦労して折衝して残してくれたんだと思う。チームをなくしてはいけないという思いで」
フジタが残してくれたものは、当座の運転資金だけではない。練習グラウンドやクラブハウスもそのまま使用することができた。賃貸ではあったが、選手たちがサッカーをする場を失わずに済んだことは、リスタートしたばかりのチームにとって大きかった。
もちろん、「生き残りへの挑戦」が本格的に始まったのはここからと言っていい。
フジタが撤退し、チーム存続のために新たな道を歩み始めたベルマーレ 新会社の年間予算は6億円。社員は10人。フジタ撤退前は17億円と27人だったから、「カネ」も「ヒト」も絶対的に不足した状態での再出発だった。
しかも戦う舞台は、前年に設立したばかりのJ2。広告、入場料など収入の減少も必至だった。
それでもチームが存続したからこそ、「生き残りへの挑戦」を始めることができたのだ。
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